これは、私が中学生の頃の話です。夏休みに友人同士で、柏原にある「青少年野外活動センター」にキャンプにいく亊になりました。
「野外活動センター」に着くなり、そこの職員の男性が開口一番、「ここはでるんやで」と、言い出すではありませんか。
私達は、子供をからかっているんだろうと、あまり気にも留めなかったのですが・・・・・・・・・・・・・・・。本当に出たんですよね。
私達は、その晩はバンガローに泊まって、やはり友人同士が集まると、はしゃいだりしてなかなか眠らないものです。
馬鹿な話や怪談話をしながら、話し込んでいくうちに、だんだんと夜も更けていきました。
夜中の一時過ぎになって、流石に皆眠くなって来たのか、寝袋に入って一人、又一人と寝始めました。
バンガローに五、六人でずらりと、並んで寝ていたのですが、私は一番入り口に近い端っこで寝ていました。
それから少しして、夜中の二時頃。辺りはしーんとしていて、虫の鳴く声しか聞こえません。
私はうとうととし始めていたのですが、隣で何かの気配を感じて、ふっと、振り向くと、(入り口の方に顔を向けて寝ていたのです)人が正座して座っている。
辺りが真っ暗で、月明かりくらいの光量しかバンガローの中にはないので、その人は暗いシルエットだけしか見えず、表情が窺えなかったので、私はてっきりと、隣で寝ている友達が寝ぼけて座っているのかと、思っていたのです。
眠いのか、うつらうつらと、船を漕ぐように上下にゆらゆらと揺れているのです。私は、「眠いのだったら、寝袋に入って、寝ればいいものを何を考えているのか」と、不思議に思ってみていたのですが、ところが様子がおかしい。
揺れがだんだんと、大きくなっているのです。がくんっ!!がくんっ!!がくんっ!!がくんっ!!っと、そのまま前のめりになって、ばたんっ!!っと、凄まじい音とともに倒れてしまったのです。
と、同時にその正座している人も消えてしまったのです。しかも、あれだけの大音響が鳴ったにもかかわらず、周りの友人達は何事もなかったように寝ているではありませんか。
私は何が何だか訳がわからず、怖いというよりも、何かとてつもなく不思議な目にあってしまったという、感覚の方が強いのですが、とにかく頭から寝袋を被って、今のは一体何なのだったのかと、考えていました。
そして、辺りはしーんとしていて、虫の鳴く声しか聞こえません。今度は、その虫の鳴く声に混じって、ばり、ばり、ばり、ばり、ばり、ばり・・・・・・・・・・・・・・と何かを噛る音が聞こえます。
これは見れば絶対にやばいぞ、しかし、この音はいったい何なのか知りたいという気持ちも強かったので、意を決して音のするほうに振り向いてみると、これも暗いので、シルエットだけしか見えなかったのですが、どうやら着物らしきものを着た、髪の長い女性が、正座しながら何かを食べているではないですか。
まんじりもしないまま夜が明けると、昨夜、着物姿の女性が何かを食べていた所に、飯ごう炊さんようにと、持ってきていたお米がばさっと、散乱しているではありませんか。
ちょうど、その周辺で寝ていた友人が「夜中に寝ぼけて食べたんだろう」といわれていたのですが、私は流石に「いや、違うぞ。それは昨夜、君の枕元で、着物姿の女性が、そのお米を噛っていたんだ」とは、言い出せませんでした。
この話には後日談がありまして、それから十数年後の話。昨年の暮れに「別冊宝島ウラ関西で遊ぼう」の「最強肝試しゾーンマップ」制作のため、再びその場所を訪れたのです。
あちこちを歩き回っているうちに、私達はあるとんでもないものを発見してしまったのです。それは小さな遺跡でした。
その遺跡は比較的最近に発見されたようで、私達が中学生の時に行ったころにはまだ、発見されていなかったのです。
遺跡の隣に立て札があり目を通してみると、この遺跡は六世紀後半に死者を弔った遺跡で、この遺跡からは木櫃に入った遺体が、二体出てきたそうです・・・・・・・・・・。
私が見たのは、その木櫃に入っていた人達だったのでしょうか・・・・・・・・?
何かを齧る音
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