高校三年、卒業式の放課後。
中学、高校とずっと好きで、その子が入るからと高校も決めた。
今日こそけじめをつけようと、古風だが手紙を入れて呼び出した。
当然先に待ち合わせ場所で待っていたわけだが、時間になってもまだ来ない。
あー、察しがついて来るのやめたって事かな。こういう幕切れも、まあありかな・・・
なんて思い始めた時に、近寄ってくる足音。頭は既にパニック状態。
ついに来たか!と思って心臓がえらい音を立ててるのを無理矢理押さえつけて待つ。
相手が角を曲がって来たときには顔を見れず、三年女子の制服だとだけ確認して
「実は俺、中学の頃からお前のことずっと好きで!この高校選んだのもお前が行くからで・・・」
などと一気にまくし立てるようにして思いの丈を全告白。
最後には一気に近づいて両手を包む様に掴んで「俺と付き合ってくれ!」と。
その時になってやっと相手の目をしっかりと見て返事を貰おうとしました。
駄目で元々、せめて告白だけでもと。
・・・ええ、大方想像は付くでしょうが実は人違いでした。
病欠で卒業式に出られなかった告白相手の上履きを持って帰ってあげようと
靴箱を覗いた時に手紙に気付き、失礼を承知で今日はいない、と伝えに来てくれた女子でした。
校内放送がなるまで、本当に長い間そのままの体勢でお互い動けず。
顔は真っ赤で手は汗ばんで、もう恥ずかしさ以外の感情は何処へいったやら。
お互い顔見知り程度でしかなく、話したこともない相手だった。
校内放送でお互いビクッとなった後、ひとまず握り締めた手を離して
声とも付かない声で「あー・・・思いっきり握ってごめんな。痛かったか?」とか言いつつ
ハンカチ取り出して手を拭いてあげようとする俺。かなりテンパってた。
手が触れた瞬間に相手も我に返ったらしく
「あの、その、あの子今日は熱が、だから、あの、ごめんなさいっ」
とそんな感じのこと言って、もうしわくちゃになった手の中の手紙俺に押し付けて凄い速さで逃げてった。
残された俺もう恥ずかしくて恥ずかしくて。殆ど知らない相手に6年間の思いの丈「 全 告 白 」
制服汚れるとかそんな事思う暇もなく比喩じゃなく地面のた打ち回って震えました。
・・・後日談。結局告白は出来ずじまいで終わるも既にそんな気になれるはずもなく。
時は流れ4月。大学の入学式で告白を誤爆した相手に遭遇。マンガかよ、おい。
一瞬の内に脳内を駆けめぐる例の状況。何故か泣き出す相手。なぐさめるしかない俺。
今でも偶然顔を合わせるとお互い恥ずかしさで一杯になります。
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