ここで聞いてくれ、俺の長年のトラウマを。
俺が消防3年くらいのとき、オカンと行ったデパートでマジックショーをやってたんだ。
で、マジシャン曰く「じゃー、次にお客さんに手伝ってもらいましょー。どなたか~…アナタ!」
そこでなんと、うちのオカンが指名されてしまった。
オカン、ステージに上がったとたん、机の上に寝かせられて、何やら腹を覆う箱を乗せられていた。
マジシャン「今から、このご婦人の腹を切りま~す」
俺「ええぇぇぇぇー!!!??」
ちょっと待て。おまい、俺のオカンに何すんだよ、腹を切る?そんなの俺を産んだときだけで充分なんだよゴルァ!
ヤバイまじヤバイ。オカンの胴体が今まさに切られようとしていた。
俺(オカ───ン!!)
そしてオカンの体は上下ふたつになった。
拍手する観客たち。
俺(おまいら、なに、歓声なんか上げちゃってんの? 俺のオカンだよ? もっと殺伐としてもいいはずろうが!!)
そのへんのヤシの胸ぐら掴んで、おまいは他人の母親はなんと思っているのか問いつめたい。問いつめたい。小一時間問いつめたい。
マジシャン「じゃ、戻しま~す」
俺「( ゚д゚)ポカーン」
みるみるうちにオカンの胴体は元通りひとつになり、気恥ずかしそうに笑いながら立ち上がった。
マジシャン「腹は糊でくっつけてありますんで、今日はお風呂に入らないでくださいね。取れちゃうからね」
爆笑する観客たち。
オカン「ただいま~」
そしてオカンは笑顔で戻ってきた。
その日の夜。
俺は風呂に入ろうとするオカンを必死で、そりゃもう必死で止めた。
オカン「だいじょうぶだよ~。強力な糊みたいだし、しっかり止まってるよ~」
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