ドイツ郊外での話ですが、大学の夏休みに、友達二人と車で旅行に出かけました。
小さな民宿に泊って、その次の日は500キロくらい走行する予定だったので、
皆で早めに床に就いたのですが、夜中に友人がうなされて目を覚ましました。
どうしたのかと聞くと、
「すごい怖い夢を見た、クローゼットの中にオバケがいて、
その奥の方の暗い部屋に俺を閉じ込めようとした」
僕は正直、いい歳こいてクローゼットのオバケってと呆れたのですが、
真剣に怯えているので、クローゼットを開けて、
ホラ何にもいないだろ、と安心させてやりました。
翌朝宿の奥さんが朝食の時に、
「あなた達の泊ってる部屋に、大戦中ナチスから逃れるために作った
隠し部屋があるんだけど、見せてあげるわ」
「それって、もしかしてクローゼットの奥ですか?」
「あら、知ってたの。でも、結局ここの住人だった人
見つかって収容所に入れられたんだって。悲しい話ねえ、
戦争はもう懲り懲りよ」
ちなみにその友人は半分ユダヤの血が入ってる奴で、
その日は一日中ブルーでした。
クローゼットの裏の隠し部屋
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