家族でとある島に旅行に行った時の事なんだけど…
左が海で断崖右が山で絶壁つー道を車で走ってたのね。
車のライトはもう付いてた時間に宿に向かってたんだけど
父が運転してて、母は助手席。オレは母の後ろの席で
(つまり海側)その隣で妹がオレの膝枕で眠ってた。
オレはずっと海の漁火を眺めてたんだけど、妹が寝返りを
打って座席からずり落ちそうになったんで慌てて元に戻した。
すると急に母が「ねぇ、今の…」と言い、父が続けて
「足、あったよな…?」と言った。何の事だか分からなくて
車外を見たが、何も見えない。両親に聞いても答えてくれない。
宿に着いて部屋での食事も終わり、仲居さんが片付けて
くれている時、父と妹が風呂に行ったので母と仲居さんで
談笑を始めた。「今日どこへ行かれたんですか?」との問いに
色々答えていた母がふと、「○○の辺りを通った時に…」
と話を始めた。さっきの「足あったよな」の会話があった場所だ。
母によると、暗い道で民家も見当たらず、停まっている車も
なかったのに、車道のガードレールのトコロに女の子と男の子が
海側を見て立っていたらしい。そしてウチの車が通りかかる時
首だけをこちらに向けて、ゆっくりと会釈をしたと…。
その話を聞いた仲居さんが「ああ、あの辺は出るらしいですよ。
ハイヤー(当時これってタクシーの事だって知らなかったオレ)の
運転手なんかは夜通りたくないって言ってますよ。」と
ケロっと答えていたのが印象深かったな~。
ちなみにウチの父は冗談も言わないような厳格な人間なワリに
怖い話が苦手なので、母は父の前ではむし返さなかったらしい。
(それにしても何でオレは見れなかったんだろ?)
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