今年の夏コミの悪夢です。
夏コミ前にね、コピー本やる友達の手伝いをしに家を開けてたんですよ。私。
翌日は楽しいコミケ、ペーパーも終わったし、張り切っ て行くか、と。
時間は夜の8時だったかなあ。駅から歩いて戻って、自分のアパートとマンションの間の子のような自宅へいそいそ歩いて来ました。
私の部屋、三階の端なんですが、 窓が明るいんですよ。電気消して行ったはずなのに、なんで?と思って慌てて部屋に 向かったら、なんか…ドア越しに人の気配があるじゃないですか。
気が動転しつ つも慌てて鍵を開いたら、そこには見知らぬ四人の厨房が人の部屋でくつろいでやがりました。
…ど、どうして部屋の中に勝手に入れたのよう…。
しかも、チェーンついてるのでガチャガチャしまして、
「ちょっと!あなたたち、なんなの!?ここ開けなさい!!」
って怒るとですね、真中にいたメガネっ子がやっと 気づいたフリをして「ヤ○ちゃん~?」とかって駆け寄ってくるんです。
なんで、友達の顔知らないの…よりも、もしかしてまだ来るのか!?
そう戦慄しながらどうにか外れたチェーンにほっと息をついて飛び込み、慌てて言ったんです。
「ここ、私の部屋なんだけど、あなたたち、勝手になにしてるの!?」と。
泥棒とか なんとか、言いようはあるんでしょうけど。
私も友人たちには偉そうに言ってたんですけど、実際当事者になると気が動転しちゃってだめですね(泣)
彼女の返事は、きょとんとした顔で
「え?○○さんでしょ?チャットでお友達になったじゃないですか。通販したし、住所わかってたから、明日コミケだし」
……はあ!?
「住所分かったからって…押しかけるなんて、なに非常識なこと言ってるの!?」
思わず本気で素っ頓狂な声で叫ぶと、残りの三人もきょとん。
しかも、人の部屋荒らしまくってるし。いつからいたんでしょうか、布団ぐちゃぐちゃだし、なんか、 台所とか、原稿とか、本とか、なんか、なんか色々…。
もちろん、不法侵入罪です。カンカンになって警察に言ったんですよ。
やっと来てくれた警官さんにああだこうだ言ったんですが、彼女たちが友達ですと 言い張ったこと、それから運悪くその時まだ登場してなかった○○が来て、彼女までも何事もなかったように、にこにこと…。
そして、決定的な不運はその彼女と一緒に来た人です。
新ジャンルで友人になったばかりのOL!まともだと信じていた彼女が、事の発端だったわけですよ。
中に一人本物の友人がいるとなれば、事態は逆転します。しかも彼女ったら公務員…(泣)
わ、私の血税…。いや、それはともかく、しかも未成年の中に混じる成人。これが不味かった。
警官さんは口をぱくぱくさせる私を尻目に、 「よかった、保護者がいるんだね。じゃあ、僕はこれで。多いんですよなんたらかんたら」とか言いながら帰ってしまいました。私の主張は全部無視。
話術達者で美人なOLが一見物凄くしっかりまともな人に見えたからでしょう。
それで私が「香葉(仮名)さん、なんでいきなりこんなことなってるの!?」
「前に泊めてってて言ったらあなたいいって言ったでしょ?電話したけどつながらなくて。携帯、ちゃんと持ってるの?」
「充電器忘れて…って、関係ないでしょ!」
「だめよ、しっかりしなくちゃ。この子達も泊まるとこ探してたみたいだから、 ちょうどいいと思って。困った時は助け合いだものね」
にっこり、じゃないよ!
「だから、どうして入れたのよ!!」
「ご実家のお母様にお電話で事情を話したら大家さんに電話入れてくれたのよ。
よかったわ、今買い物済ませてきたからなにか食べましょうね。食費はいいわ。宿代だと思って。
でも私、料理できないの。美奈さん料理上手でしょ?楽しみだわ」
…わ、私がつくるって、それより、お母さん…だ、騙されちゃったらしいよ…。
混乱する頭を抱えながらとにかく私は部屋に戻り、電話をかけました。実家にです。
そしたら開口一番母に言われましたよ。
「いやあ、あんたにもまともな友達がおったんねえ。香葉さん丁寧でしっかりしてて安心したわ」
とかなんとか、心づけまで送ったらしく、完全に私が悪者です!
どんな話を母にしたのかは、多分言わなくても皆さん想像がつきますでしょう。
同人を快く思ってない母だったからなおさら。
それでも「こんな勝手な話ってないよ」と電話を切り、私は後ろでたむろする厨房5人とこ香葉さんを見て言いました。
勝手なことをされたって泊める気はない。自分で散らかしたものを片付けてさっさと出て行って!!と。すると決り文句です。
「だってお金ないよ」「野宿しろって言うの!?」
香葉さんは香葉さんで心底分からないといった顔で「友達にそんなこと言うの?まあ、あなたが言うなら彼女たちは出て行けばいいんでしょうけども」
…あんたもよ!!彼女のわけのわからない理屈に眩暈を覚えながら
「あんたももう友達じゃない!出て行って!」と言うと、彼女はむっとした顔で振り向き、打って変わって恐ろしい形相で彼女たちに凄んだのです。
「あんたたちみたいな子供と付き合うとどうなるかの証明よね。さあ、出てきなさい」
…って、あなたどっちの味方なんだろう。そして、今度は彼女と厨房たちの戦いになったんですよ。どういうこと!?
私は本当に暫くの間、罵倒し合う…というか、うお~んと泣く厨房よりも彼女が怖くて凍り付いてました。
私に、301さんの元彼のような知り合いがいてくれたら…。でも、いないし自分でなんとかするしかないんです。
とにかく、こんな狭いところで乱闘されてはたまりません。壊れたら困る高価なものだってあるんです。
…というか、押入れの襖とか困る! 私はとにかく彼女らを止めました。そして、そしてね、
「やっぱりあなたは私の味方なのね」
長い黒髪ストレートヘヤを振り乱し、振り向いてにっこりと笑った 彼女の顔が、私には般若のようでしたよ。本当に…。
怖かったんです。叩き出したかったけど、とにかく怖かった。私はとにかく厨房たちを追い出して、…正確には彼女が叩き出して、
厨房たちの荷物をその背中に投げつけたのですが。部屋には、私と彼女が残されました。
分かってます。追い出した方がいいことは。でも…でもね、怖かったんですよ。とにかく。
長い髪をかきあげてくつろぐ彼女に乞われるままお茶を出して、私は恐怖でぶるぶる震える心境で
とにかく荒らされた部屋を片付けて、彼女の買ってきたスーパーの袋を見て、また凍りつきました。
3キロもの牛肉、2キロもの鶏肉、豚肉、とにかく、入ってるのはあらゆる種類の肉、肉、肉!!!
いや、単にすごくお肉が好きなだけかも知れませんが、あのファイトを見た後ではきついです…。
しかも、ドアの外では叩き出された厨房たちがうおんうおんと泣き、ドアをこう、かりかり?とか。
思考停止した頭の中で、思わずこれって夢なんじゃ…って思いました。私も。
多分そう思う人いっぱいいると思う。私は実は小説書いてますが、あの時の恐怖、こんな文じゃまだまだ巧く伝えられません。
ああ、だから二人して重そうにこの袋持ってたのか…と思いながら、私は恐る恐る彼女を振りかえって言いました。
「あの、これ肉しか入ってないんだけど」
すると返事は、
「そうよ。みんなエネルギーが必要でしょ?さあ、なにか作ってね。余ったらあげるわ」
…いらないでス…(泣)でも、最後に勇気を振り絞ってもう一回言ったのですよ。
「ところで、私はあなたのこと許してないんですけど。これ持って出てって下さい」
答えは、答えは、こ、怖い目での凝視!!!ただ、こっちをジロリと見たまま、静止するの!
なにも言わないの!!怖いんですってば!!
「…明日コミケよ。いまさらホテル取れって言うの」
「で、でも、だけど…」
「…外の連中、うるさいわね。バケツに水入れて頂戴。水でも浴びればちょっとは静かになるでしょうよ」
…な、夏だけど、その発想が怖い!!
「い、いいです!その内諦めるでしょうから!!」
「…そうね。じゃあ早くして。お腹空いてるのよ、私。怒りっぽくなってしまうのよね」
…負けました。殺されそうな気がして(泣)。
半泣きになりながら冷蔵庫を開けて、いつまでもドアの前から消えない気配に怯えながらつくって たのですけど、こんな、肉ばっかりでご飯つくれって…。
私、一人暮しだからお野菜だってちょっとしかないのに。そう思いながらどうにか野菜を入れて一人分つくって出したんですよ。
ちゃんと、一式揃えて。そしたら開口一番
「少ないわ。もっとよ」
ふ、二人分ぐらい作ったつもりだったのに(泣)。一緒には食べなくても…。
でも、仕方なくまた別のものをつくってね、その傍ら滅茶苦茶に汚された台所を片付けてたんです。
そしたらドアが叩かれまして、言われました。 大家さんに。
「美奈さん?この子たちだけどねえ」
慌てて弁解しようとドアを開けた瞬間、厨房たちは物凄いスピードで部屋に転がり込んで来て、言いましたよ。
「ケンカしちゃったんです~」
大家さんは大家さんで、私が必死に首を振っても
「仲良くしてくださいよ。苦情が出ますからね。ああ、でも美奈さんにこんなしっかりしたお友達がいるなんて安心ねえ」
…気がついたら、背後に彼女が!!またにこやかに挨拶を返す彼女に、私、言い返せませんでした…。
–To Be Continued–
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