ここ最近、仕事の残業が長かったせいか睡眠不足が続いていた。
昼間の時間も、軽い睡魔が襲い「今日は早く寝よう」と自分に言い聞かせたが、なかなかそんな日は訪れなかった。
その一週間前に珍しく早く仕事が終わり、俺は軽くシャワーを浴びて、帰りに買ったコンビニ弁当を一気に腹へ流し込んだ。
普通なら、目が冴えてる所だが、その日は早めに寝た。確か時間は20:30前ぐらいだと思う。
気付けば俺は眠っていた。
ところが、夜中に目が覚めたのだ。
原因は俺の携帯が鳴っていたからだ。
真っ暗な部屋に携帯の着信ランプが緑と黄色に交互に光り、鳴っているのが分かった。
良く眠っていた筈なのに携帯で起こされるのは、何とも不運である。
俺は、眠気ざまに軽く携帯電話を開いた。
…見知らぬ番号だ。
間違い電話と思い、ひとりで鳴る携帯を無視した。
そのうち止むだろうと思った瞬間に電話は切れた。
さあさあ、寝よ寝よ。と携帯電話とは反対に顔を向け眠ろうとした。
ここで俺は後悔したのだ。すぐさま携帯の電源を切れば正解だった。
まさか直ぐに二回目が鳴るとは思わなかった。
そのうち切れるだろうと思ったが、どうやら俺の方がキレそうになってきたので、携帯をまた軽く開いた。さっきの見知らぬ番号を把握してないが、だいたい番号が似ている。
犯人が同一人物なのが分かると、俺はコンタクトをとった。
俺が「もしもし」と言う前に、向こうは陽気な声で話し掛けてきた。
「やっと出たね!今日もボクチン、沢山お酒飲みましたよ~。エヘヘ~。また○○ちゃんに怒られちゃうねぇ」
酔っぱらいだった!しかも、俺を奥さんだと思っているらしい。いい迷惑だ。
酔っぱらいの語りは続き
「電車が無くなったから迎えに来てくれないかな~。エヘヘ。ゴメンね。お詫びに何か買っとくものあるかな~?ボクチン買っとくよ~。お利口でしょ~」
相手は相当酔っており、俺は終始無言だった。
すっかり目が冴えた俺はこう答えた。
「そうね。コンビニでストッキングと生理用品買ってきて。分からなかったらお店の女の子に聞いてね。じゃあ、今から迎えに行くわ」
そう、女性らしく真似して話したが相手は「了解しました!」と元気よく答えた。
俺は見知らぬ酔っぱらいから解放され、携帯の電源を切り眠りについた。
あの酔っぱらいがどうなったかは俺は知らない。
『夜間天使(年齢32歳・♂)』さんからの投稿です。
ありがとうございます。
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