禁煙して、と言った彼女に駅の改札口で振られた後、俺はホームで呆然と電車を待ってた。
もう21時をまわってて、田舎だから他にはオッサンしかいなかった。
とりあえず一部始終はそのオッサンに見られていたと思う。
もう全部どうでもよくなって、自販でセッタを買って喫煙所まで行って気付いた。
火がない。
急にいろいろ思い出して、惨めになって、
目を潤ませながらカバンをゴソゴソやってる俺に、オッサンが
火、いるかい?
俺はうなずいて火をもらい、一服した。
同時に、涙がこぼれた。
お礼の一言を口から出すことができなかった。
オッサンは、俺の肩をたたいたあと、黙っていてくれた。
オッサン、ありがとう。
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