私は幼い頃、日本酒と煙草の好きな祖父にベッタリだった。
良くハイライトを買いに行かされてたのを憶えている。
夜は膝の上に乗せてもらい、独特の煙草と酒臭さの中、夕食を共にしたものだった。
いつしか私も高校・大学と進学して一人暮らし、就職しても離ればなれの生活だったが、
会いに帰るといつも元気だったので安心していた。
しかし、秋も終わる頃に突然体調が悪くなり、その3日後、亡くなったとの連絡があった・・・
仕事を休み、まずは泣いている場合じゃないと通夜に駆けつけたが、
その日の通夜は親戚の対応に追われ、かなり忙しかった為か涙は出なかった。
でも、次の日に葬式にて位牌と共に飾られた祖父の写真を見て、私はその場で泣き崩れた・・・
その写真は、幼い頃の私を膝に乗せて撮った夕食での写真でした。
お葬式用に加工されていても、元写真が鮮明に浮かび、風景・匂い・音が手に届くように頭の中を巡りました。
私は何分泣いていたのか、未だにわかりませんが、父に声を掛けられるまで意識が飛んだような状態でした。
父から
「いろんな写真を探したんだが、この時の笑顔が一番心から笑ってると思ったんだよ」
と聞き、さらに泣きました。
ハイライトと日本酒を添えて天国に旅だった祖父には、幽霊でもいいから、
もう一度逢いたい、そして酒を酌み交わしたいと心から思う。
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