小学4年生の頃かな。
出たばっかりのスープラって車を親父の仲間の次男坊が買って時々乗せてもらったっけ。
初めて乗るターボ車の走りが凄く面白くてカッコ良くて、兄ちゃんが来る度に
「乗せて!乗せて!」
と言ってたっけ。
どんどん車のあちこちが改造されて、とんでもなく速い車になってさ。
最後はその兄ちゃん、病気で亡くなってさ…
スープラが暫くして売られたって時は泣き叫んだよ。
「どうして兄ちゃんの車、売っちゃったの!!」
って。
スープラ=兄ちゃん、って感じがしてて。
それからもう10年。
免許を取って運転に慣れた頃に親戚の叔父さんが車を買う仲介をしてくれて、紹介された車がスープラだった。
もちろん即決。
大して高くなかった。
それを兄ちゃんの家族に見せに行ったら、家族全員ボロボロ涙を流してた。
兄ちゃんを思い出して泣いているにしちゃオーバーかな、と思っていたら親父さんが半泣きで、
敷地内にある古ぼけた物置きを指差して
「あれ、使ってやってくれないか?」
って言った。
俺は全然意味が分からないまま物置きを開けたらあの兄ちゃんがスープラに付けていたパーツがギッシリと。
俺も泣いたよ。
大泣きした。
「ボウズがいずれスープラを買うだろうから、その時にあげてくれ」
と病床の兄ちゃんは言っていたそうだ。
そして手放す時に全てパーツを外して保管してくれていたのだ。
そうして今、兄ちゃんがくれたパーツを組んで俺は走っている。
兄ちゃん。
やっぱり兄ちゃんのスープラは速いんだね。
どんな凄いパーツ付けても、兄ちゃんの走ってた時代には戻れないや。
でも、ちょっと変わっちゃったけど兄ちゃんが走ってた世界は良く見えるよ。
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