もう何年も前の話し。
ある日、何気なく見ていたテレビでニュースが始まり、列車事故の事が報道された。
場所も時刻も覚えてないが…画面には田舎道らしき事故現場が淡々と映しだされ、女性キャスターが声のみで事故状況を説明している。
なんでも、踏切で乗用車が列車と衝突し、運転手が亡くなったらしい。
「ふ~ん」程度で特にこれといった関心もなくぼうと見ていると…列車と線路を間近から見下ろして撮っている場面に変わった。
その瞬間、「えっ」となって固まった。
車輪と線路の隙間 つまり、列車と地面の間に、残骸と化した車が紙みたくぺしゃんこになって挟まっていたのにも驚いたが…さらにその潰れた車内から、画面右下へ向かって腕が伸びていたのだ。
その腕は右手で、白く細く健康的で…血一滴も傷ひとつもなく、肘から先が外へと突き出ていた。
目を白黒させている内に画面は切り替わり、一応そのニュースを最後まで見たが、結局同じ映像はそれ以後出てこなかった。
私は、「日本ではブルーシートで徹底して隠し、ご遺体は映さないものだけどなぁ……珍しいこともあるもんだ」ぐらいにしか思わず、その後この事故の事はすっかり忘れていた。
…のだが、ここ最近になって思い出すと…どうにもおかしい。
死者が何人 とはっきり報道できると言うことは、遺体は回収され、後片付けもすっかり済んでいるということ。
その後に取材陣が訪れ撮影を行ったなら、車や遺体が映るなんてことは起こりえない。
事故後素早く現れて撮ったにしても、ブルーシートも警察等の姿も一切無いってのも変だし、なにより、遺体が映った映像を流したりしたら、批判や非難が殺到して問題になるのでは?
でも、その後そのような騒ぎはなかった。
流された映像は、暗がりの線路にポツンと短い車両が乗っていて、その周りをうろうろって感じで…ズームみたいに一気に近づいた画像に、その腕と車が映っていた。
…なにより不思議でたまらないのは……生えていた腕が、今にも動き出しそうなほど綺麗だったこと。
華奢なので若い女性なのかも知れない。
残念なことに、その運転手が女性であったかは覚えていない。
腕の映像は本当に一瞬で…流れたのは一秒に満たないかも。
でも、なぜだか脳裏に焼き付いてはっきり思い出せる。
でも、そのニュースの報道時期や詳しい内容は思い出せない。
…不確かな記憶だけど、ひとつ確かなのは……あれは、絶対に夢じゃないと言うこと。
あの腕は本当にご遺体だったのか…それとも、心霊現象だったのか、今でも不可思議な体験。
『黒猫(年齢24歳・♀)』さんからの投稿です。
ありがとうございます。
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