知人の体験談です。
今から30年ほど前の事だそうですが、真夏のある暑い昼下がりの事…。
プールへ出掛けようと玄関を出たところ、家の門柱の前に、水色のサマードレスを着て麦わら帽子をかぶった華奢な女性が立っていた。
よく見ると、知人の姉の友人(Fさん)だった。
「お姉さん、居ますか?」とFさんに尋ねられたが、あいにく留守だったため、「すぐに戻ると思うので、上がってお待ちくださいな。」とすすめると、顔を見に来ただけだからいい、お姉さんに宜しくと言って、Fさんは帰った。
玄関先で彼女を見送りながら、知人はあることに気づいた。
影が…。
真夏の強烈な日差しの下、普通なら黒々とした影になる筈なのに、彼女の足元の影は極端に薄かったのだ。
まるで、透明な硝子のコップの影のように…。
その夜、知人宅にFさんの不幸を報せる電話があった。
そして、知人は思い出した。
彼女は長い間病気をわずらい、一人で出歩く事が不可能な程重症だったことを…。
『もちら(年齢26歳・♀)』さんからの投稿です。
ありがとうございます。
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