殺人事件

約５年千葉のとある風俗店でﾃﾞﾘﾍﾙのﾄﾞﾗｲﾊﾞｰとして働いていた俺は待機していた車の中、店長からの電話で起こされた、

｢今日夕方頃、ゆかちゃん(仮)って新人のＳｸﾗｽ(最上級)の子が体入(体験入店)で来るからお前絶対うちの店に入店させろ｣

｢は、はい｣

半分やくざの様な店長にそう告げられ電話番号を聞くと約束の時間に千葉で女の子と待ち合わせ合流した、
｢初めまして、ゆかです、今日はよろしくお願いします。｣

確かにこの子を入店させれば売上も伸びるに違いない、第一印象もとても明るくスタイルも抜群、非の打ち所の無い正真正銘のＳｸﾗｽであった、

俺は店に送る間にｼｽﾃﾑを説明し、彼女が面接を終えるなり店に出す拡大版のﾌﾟﾘｸﾗを撮りに近くのｹﾞｰﾑｾﾝﾀｰに向かった、ｹﾞｰﾑｾﾝﾀｰに着くとたむろしているｷﾞｬﾙ男や女の子達が彼女を見て

｢超かわいぃ｣

等と言っているのを聞いてこの子をのがす手は無いと改めて確信した、ﾌﾟﾘｸﾗを撮り終わりいざ受付を開始するとあっという間に出勤時間ｷﾞﾘｷﾞﾘまで予約が入り彼女は休憩も取らずに仕事をこなした、

閉店時間を迎え初日の給料６万円を渡し、送り(送迎)かどうかと聞くと、

｢友達が迎えに来るので駅まででいいです。｣

彼女とは音楽の趣味が合い個人的にCLUBに遊びに行く約束を帰りの車の中で密に決めいざ駅に着くとﾌﾙｽﾓｰｸのｾﾀﾞﾝが一台停まっていた、彼女はｾﾀﾞﾝを指差し、

｢あっ、あれが友達の車なんで脇に付けて下さい。｣

言われるがままに車を付け彼女は明日の出勤時間を俺に伝えるとｾﾀﾞﾝの助手席に座り朝方の街に消えた、

帰宅し睡眠をとり約束の時間になり彼女に何度も電話をかけたが留守電になってしまい挙げ句には電源を切られてしまった、

｢てめぇが変な印象でも与える様な事してっからﾊﾞｯｸﾚられたんだろうが｣

俺は出勤するなり罵声を浴びせられ仕舞いには１ヶ月の減給処分となった、

なんで俺のせいなんだよ、あの子もあの子で約束とか明日も出勤するとか適当な事いいやがって、

そんな事を考えながら女の子達を客の指名したホテルに案内しいつものように業務をこなしていると店長からの着信、

｢女の子の出待ちしたらすぐに店に戻れ！｣

指示通りに女の子達を車に乗せ店に戻ると店の幹部ｸﾗｽが集合して何やらざわついていた、

｢早くこい！見てみろこれ｣
待機室にあるﾃﾚﾋﾞを見て見ると殺人事件のﾆｭｰｽ、その内容はこうだ、

今朝７時頃千葉の山林で全身数十ヶ所を鋭利なﾅｲﾌで刺されたような跡のある若い女性の遺体が発見された、その子は高橋ゆかさん年齢21歳、警察では現在犯人の行方を調べると共に目撃者の情報提供を呼び掛けているとの事、

俺は鳥肌が立った、ﾃﾚﾋﾞに映る成人式の着物姿であろう女性は紛れもない彼女だったのだ、

｢あの子誰かに殺されたんだ、お前昨日送りした時の状況どうだったんだ？｣

店長も軽く気が動転しているようでﾀﾊﾞｺを持つ手が震えているように見えた、

俺は状況を説明し、情報を提供する為次の日に県警へ向かった、

県警の前には取材陣と思われる数人のｽｰﾂ姿の男女が警察の動きを伺っているがそれを横目に受付で事情を話すと殺人課へと案内され約３時間の事情聴取を受け県警を後にした、

送りをした時に停まっていたｾﾀﾞﾝに乗っていた人物が犯人だったのではないか、ｽﾓｰｸ越しに車も顔も見られている、考えるだけで怖かった、

事件から約１週間が過ぎ見慣れない番号からの着信は聴取の場にいた殺人課の刑事からだった、

｢この間は捜査協力ありがとうね、犯人逮捕されたから、｣

俺はほっと胸を撫で下ろした、刑事の話しによると男友達のｾﾀﾞﾝに乗った彼女は元彼氏からの連絡が入り自宅近辺のｺﾝﾋﾞﾆで下車、元彼氏と合流しﾄﾞﾗｲﾌﾞをするが元彼氏に強引に復縁を迫られ断り続けた際に妬けになった男にﾅｲﾌでめった刺しにされそのまま山林に彼女は遺棄されたとの事、

犯人も無事逮捕され生活も普段通りに戻ったがしばらくは不安感が拭い去れなかった、

ひらりんさん(男性)からの投稿でした