今から約30年前の話。
宅地造成地で野球したりして遊んでいた俺達の前に、ランニングシャツを着たおっさんが自転車こいでやってきた。
いきなり全員を集合させて、自分は誰か知ってるか?と聞いた。知らないとみんな答えると、物凄く怖い形相になり「一列に並べ」と命令した。
怖くて言うままに並ぶと、「モンチョウシロウ」と一人一人に復唱させ始めた。最後の一人が終わった後で「俺の名前は?」と聞いた。
みんなで「モンチョウシロウ」と答えるとウンウンと頷いて自転車に乗って何処かへ行ってしまった。
あちこちでそんな事を繰り返していたのか、俺達の話題に頻繁に出て来るようになった。
モンチョウシロウが自転車で通り過ぎて行くのを見掛けた俺達は「あっ、モンチョウシロウだ」と叫ぶとそれに応えてにっこり笑って去っていった。
しかし突然見掛けなくなってしまった。モンチョウシロウ、一体何者だったのだろうか。
–END–
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