小学三年生ごろの話。
父は入院してて、週一回ぐらいは母と一緒にお見舞いしてた。
入院から数年経ったころ、病院から電話がかかってきた。
病室に入ると、おばあちゃんと姉ちゃんと父の妹、看護士と医師。
その人たちがベットを囲んでた。
おばあちゃんと父の妹は、病院から遠いのに…駆けつけてくれたんだろうな。
みんな静かだった。けど、父の妹は泣き崩れてた。
おばあちゃんが私に言った。まだ耳は聞こえるから、言葉をかけてあげて、と。
でも…どうすりゃいいのかわかんなかった。いや、口が動かなかった。
しばらくすると、心電図が0になった。でも、三分ぐらい様子をみてた。
それから、医師が時刻を言った。ご愁傷様とかより先に、死亡時刻を伝えた。
そして、何人かで病室に残った。
不謹慎だけど気になって、父の顔にかけられた白い布をそっとめくった。
幸せそうな笑顔だった。
あのとき言葉をかけてられなかったのが、自分にとっちゃ一番せつない。
あとから知ったけど、ガンだったらしい。
随分経った今でも、思い出すと泣きそうになる。ときどき泣く。
切ないとか悲しいとかもあるけど、くやしくて。
出来るなら、伝えたい。ありがとうと、大好きと。
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