お前との5年の付き合い、とても良かったよ。
本当に偶然が重なって出会ったんだよね。
初めてのデートの時待ち合わせ場所でオレを見つけて手を振りながら歩いて来たのを今でもハッキリ覚えてるよ。
お前には他人にない優しさがあった。叶うかわからないような夢を追って、収入が少ないオレに「共働きでもいいじゃん、あたしも稼ぐからさ!」と、結婚を先延ばしにしてくれた。
なるべくオレに負担をかけないようにと「ボーナスが増えたから」とウソを言って、旅行のお金を全額払ってくれたりした。
こっちで一人暮らしの時に、オレが遊びに行くときには必ず好きなものを作って待っていてくれた。
オレは仕事(夢)が少しでも現実に近づいたら、お前と一緒に色々なところで美味いものを食べたり、旅行に行ったり、指輪をプレゼントしたりするつもりだった。
それがつらい時期を支えてくれたお前に対し少しでもだけど恩返しになると思った。
でも、こんなに早く逝ってしまうならもっと色々なところに一緒に行っておけば良かった。
グルメのお前にもっと「こりゃうめえ」と言わせたかった。
旅行が好きだけど、海外に行ったことがないお前と海外に行っておけば良かった。
忙しいからと言い訳しないで、無理矢理にでも会いに行けば良かった。
オレはお前と一緒じゃないのなら、もう新しい景色にもすばらしい料理にも出会いたくない。
オレは物足りない。お前との時間はあまりにも短すぎた。
最後の電話の時、お前はご機嫌そのものだった。
あの日の昼過ぎお前が、病院で死にそうになっていると電話が入ったときには、体中が冷たくなってすぐに熱くなった。
大変なことが起ころうとしている。他の誰でもない、お前に。
おれのおかんが「なんとかならないの?」と心配そうに言うのを背に、バイクで高速を飛ばした。
つい昨日電話で話したお前は、オレが病院に着いたときには冷たくなっていた。
携帯のボタン一つで話すことが出来たお前が流れる雲の向こうに行ってしまった。
オレは雲の流れを止められるなら止めたいと思う。
どうにもならないことにどこまで耐えられるのか…。
離れて生活していても、同じ空を見ている事を考えながら日々生活していた。
佳織よ、佳織。オレはお前に戻ってきて欲しい。
お前にもらった年賀状や写真は今でも机に飾ってある。
佳織、お前はいい子だった。いい女だった。本当に愛していた。
オレはこの世でお前に出会えて本当に良かった。
オレはもう一度お前に会いたい。
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