幼稚園行ってた頃の話で、俺自身ではなく(まだ恥ずかしいということがよくわからなかった)俺のせいで母ちゃんがとても恥ずかしかっただろうという話です。長文すいません。
当時母方の婆ちゃん、つまりは母ちゃんの実母が癌で入院していて、母ちゃんはよく見舞いに行っていた。
たまには俺も一緒についていった。孫の顔を見せてやりたかったんだろう。病院へはバスを使って行っていたのだが、俺はその中でふと尿意を催していることに気付いた。
病院まで我慢できないような感じではなく、最初は俺もこのまま我慢しようと思っていた。
しかし、こんなときに俺の中で無用の好奇心が首をもたげてきた。それは、
『僕はいまおしっこがしたいけど、このバスにはトイレがない。僕がどうしてもおしっこしたくなったら、どうするんだろう。まさかここでおもらしOKということにはならないと思うし。僕だって嫌だし、バスが止まってそこら辺で立ちションかな』
と、こんなところだった。だが、バスがたかがひとりのガキのために止まるか?という反論を自ら作り上げた俺は、いったいどういう展開になるのか知りたくなったので、とりあえず母親に小声聞いてみることにした。一種の実験みたいなものだった。
「お母さん、おしっこしたいんだけど」
母ちゃんは俺に、「本当におしっこしたいの?」と聞いてきた。
俺は我慢できると答えるべきだったのだろうが、おしっこがしたいのは本当だったので、
「うん」
と首を縦にふった。
母ちゃんは慌てて透明のビニール袋(スーパーとかで肉や魚のパックを入れるようなやつ)を取り出して、
「しょうがないからここにしなさい」
と言った。俺は別にここでしなくてもいいのにと思いつつも、あせった母ちゃんの口調がやや強めに
なっていたので、そのまますることにした。普通にトイレでするよりも妙に気持ちよかった気がする。
それからバスが目的地につき、降りることになるまで、今考えれば母ちゃんはとても恥ずかしかっただろう。俺はといえばビニール袋に溜めるとおしっこが黄色がかっているのがはっきり分かったのと、だしたてのおしっこが生暖かいことが面白く、袋を外側から指でつついてあそんでいた。母ちゃんは、「破れたら大変だからやめなさい」と小声で注意してきた。
バスが目的地の停留所について降りるとき、俺と母ちゃんはおしっこ袋持ったままバスを降りた。全乗客の視線を浴びて、母ちゃんは本当に顔から火が出るような思いだっただろう。
ごめんね母ちゃん。俺の予想では母ちゃんが車掌さんだか運転手さんに告げて、立ちションだったのに。でもそれも恥ずかしいな。すまん。
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