俺当時小学2年か3年くらいで、ちょうどお年玉もらってダッシュで駅前のゲーセン行ってたのよ。
んで、ゲーセンならではの空気の中でめいっぱい遊んでたのさ。
まだちょっとゲーセンって「汚い、危ない、雰囲気悪い」みたいなイメージあったんだけど、
俺はなんかテレビゲーム好きだったから、たまーーにお金あると行って楽しんでたわけ。
そりゃちょっとは怖かったけど。悪そうな中学生とか。
でさ、5時半とかその辺になって帰ろうと思ったら、帰りにバス代足りないのに気づいたんだ。
お年玉って言っても持ってきたのは2000円とかそんくらいで、
そんとき俺んちバスで300円近くかかるとこにあってさ。1000円札って崩すとわかんないんだよな。
子供だったし、熱中してたし。ついつい「もうちょっと」って使っちゃってたわけ。
そんでもうパニック。半ベソかいてたね、その時点で。歩いて帰れる距離じゃねえし。
そんな俺見てさすがに変に思ったみたいで、店員の兄ちゃんがやってきて
「ぼーず、もう子供帰る時間だぞ?親とはぐれたんか?」
って訊いてきたの。見た目ちょっと不良(確かオールバック)で口調とか怖いし、
すっげえビビってさ。一応正直に言ったわけ。そしたら
「んじゃ親に迎えにきてもらわなきゃだな。電話番号わかるか?」
わかっても言えないよな。親にお年玉ゲーセンで使って、バス代も使っちまったなんて。
そんでもう、どうしていいのかわかんなくてマジ泣きしてたら、その兄ちゃんが
「しょーがねーな。もうちょっと考えて使えよ…ほれ」
って言って、ポケットから500円玉出してくれたんだ。
ビックリしたけど、どっちかって言うと「助かった」って感じだったな。
そんで、そんときもお礼言ったけど、次の日にちゃんと返しにまたその店行ったのね。
んで、昨日のです、って言って兄ちゃんに500円玉差し出したんだよ俺。そしたら
「別にいいよ。そのぶんゲームやりな」
って言ってくれてさ。さすがに悪いと思って「いいです」って言ったんだけど、
「お前ゲーム好きか?」
って逆に訊いてきてさ。俺が「うん」って答えたら、
「兄ちゃんもゲーム好きだから、ここで働いてんの。お前らみたいなガキが、
ゲーム楽しんでんの見るのも好きなんだよ。金なくて泣くぐらいなら、その金で楽しんどけ」
って言ってくれてさ。そこで、初めて、この兄ちゃんすんげーいい人だ、と思ったんだ。
その後、1~2回そのゲーセン行ったけどその店員の兄ちゃんとは別に話さなかった。
んで、その後の3月にうち引っ越しちゃったから、それ以来会ってない。
でも、もしかしたらそんときの兄ちゃんここ見てるかもしれないから書きます。
俺、今でもやっぱりゲーム好きです。それから、俺も今ゲーセンの店員やってます。
近所で環境がどうとかでゲーセンの立地について問題が起こったときも、
一生懸命ゲームの楽しさとか話して説得して、わかってもらいました。
そのことで、あの時兄ちゃんが言ってたみたいに、「ゲームを楽しむ子供」の場所を守れたんなら、
それと、そのことをもし兄ちゃんがほめてくれるんなら、うれしいな。
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