まだ小学生だったころの話な。
当時仲良かった友達が住んでたでっけぇマンションでかくれんぼしてたんだけど、そのマンション結構暗くて、廊下もずっと続いてんじゃねーのってレベルで長かった。
野良猫もよく見かけるから、俺たちの間では定番の遊びスポットだった。
俺は廊下の端っこで、いつでも階段で降りられるように階段の近くで身を潜めてた。
そしたら、足音(しかも結構小走り)が聞こえてきたから圧縮されたようにかがんでやり過ごそうとした。
でも、友達じゃなかった。隠れていたら「コほほほほ」って咳と笑いを混ぜたような不気味な声が聞こえた。
しかもか細い女の声だった。
かくれんぼしてた友達の中に女子はいない。
住人の人かと思って最初はすんなり受け入れてったんだけど、後からじわじわと「コほほほほ」の意味が分からなくなってきて、いつも見てるはずの廊下が急に恐ろしいものに見えてきた。
背筋が寒くなったから一階降りて友達を探してみた。
でも友達はどこ探してもいなくて、諦めて見通しのいい中庭に移動して、ベンチの陰に隠れながらガタガタしてた。
そしたら、甲高くケータイの着信音が聞こえた。
ピリリリって感じの。
びっくりして後ろの廊下の方を向いたら、白衣か何かを着た全身真っ白な女がいた。
しゃがんでケータイ片手に誰かと通話しているようだった。
会話の内容までは驚いていたためわからなかった…
そのあとはしばらくビビり散らかしながら友達を探していた。
もうかくれんぼなんか放棄していた。
しばらくしたら友達を見つけたから、早口で今あったことを報告した。
こほほほほと笑う女がいる、ということと、白服の女が電話をしていたということ。
友達はしばらく黙った後、「それはコホホ様だよ」と消え入りそうな声で言った。
その友達(以下Rと表記)がいうには、町内会の人も認知しているらしい神様らしい。
まだまだガキだったから、信じたけど、そのあとやばいことに気づくのはもう少し後だ。
Rは鬼じゃなかったから、「複数人と行動すると見つかるぞ」と言われてまた別行動する羽目になった。
一人になってしまった俺はまたベンチの裏で隠れてた。
そうするうちにかくれんぼの鬼が来たので、息を殺して隠れていたが、結局見つかった。
鬼くんは俺の話を聞くと、「ああそれ知ってる。コホホ様でしょ。Rから聞いた」とぶっきらぼうな態度をとった。
鬼くんは最後に「その話、Rの家ですんなよ」と変なことを言った。
何はともあれ捕まってしまったので、牢屋に移動する。
俺たちの間では、牢屋はマンション入り口の、花壇と壁の間の小さなスペースと決まっていた。
牢屋に着くと、すでに一人捕まっていた。
そいつは次からJと呼ぶ。
暇を持て余した俺とJはずっとSMAPを歌ってた。
でも、歌い始めてすぐに声が出なくなった。
いたから。
3階の廊下に白く目立つ女が。
通称コホホ様は、廊下を四足歩行で歩いていた。
その光景は当時人気だった『リング』の貞子みたいだった。
Jは俺の声が急に止まったことにびっくりしていて、コホホ様は見ていなかった。
俺は少し冷静になった後、Jに「コホホ様知ってる?」と質問した。
でもJは気まずそうに何も言わず、黙っていた。
結局その日はアレの正体を何もつかめず、帰った。
その日は割とマジで寝れなかった。
その出来事から大体3日後、また例のマンションに行くことになってしまった。あの、狂った人間がいるあそこに。
学校で、Rに「今日キバ尾んちで三人でゲームしようぜ」と誘われたのが原因だ。
キバ尾とRがそのマンションに住んでいる。
キバ尾というのはクラスメートのあだ名である。
でも放課後、いくら待ってもRだけが来ない。
キバ尾と俺は、キバ尾の無駄にキラキラな部屋で待っていたが、しびれを切らした俺たちはRの号室に迎えに行くことにした。
Rの部屋のチャイムを押して、しばらく待っていると、Rのママか誰かの声で、「Rのお友達ですよね、少し待っていてください」と言われた。
俺は油断していた。
ドアがガチャと開いて、Rママが顔を出した。
Rママは「ちょっとRは今準備してますー。ごめんねー」といった。
その瞬間だった。Rが大急ぎで準備しているのだろうか、どたばたとした音の後に、
「ピリリリ」「ピリリリ」
Rママは部屋の中に戻って行ってしまい、呑気に空を見てるキバ尾と震える俺だけが残された。
以上です。
ここの書き込みは慣れてないので文が変かも。
ごめん。
創作かどうかは自分でご判断ください
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