もう20年くらい前に友人から聞いたK県某市での話になる
友人は会社を退職するにあたり、社内の部署に挨拶周りを済ませ最後に子会社へ出向している知り合いに挨拶をする為に子会社の事務所へ立ち寄った。
その事務所は親会社と同じ敷地内にある古い建物の2階の一室でいつからか物置として使われていたものを最近事務所にしたものである。
扉を開け室内に入ると友人の知り合いは正面窓際の机で入り口に向かって座っていたので扉付近に立ったまま友人が退社の挨拶をすると、その知り合いは今後の転職先も気にしてくれていたが、友人にはその時からその知り合いの
向かって左側に白装束を来た全身が白い女の人が見えていたという。
霊感も無い「見えない人」という自覚がある友人にとっては初めてだったらしい。
そんな者が見えているから友人は顔は知り合いの方を向けているが目はその左側の女の方をずっと凝視したままである。
友人は女の顔を何度もじっくり見るものの、顔はまるでピントが合わない画像の様にぼんやりとして人相はわからない。
ただ友人から見て右側のおでこにたこ焼き大の瘤(こぶ)があり、その瘤の先の部分が赤く充血していたのははっきりと確認できたという。
草木も眠る丑三つ刻に瞬間的に表れて消えるならわかるが、今は昼間でしかももう1分間以上はこうしてその知り合いの隣に立ち続けているのでこれは幽霊の登場の仕方としてはレアケースなのではないかとも友人は漏らしていた。
そんな状況でも何とか知り合いに退社の挨拶を済ませて、知り合いとその横に立ち続けている白い者のいる事務所から逃げる様に立ち去った友人だがその1年後には知人のつてで、その事務所・その知り合いの下で事務員として半年間ほど勤務する事になった。
勤務期間中は例の白い者は1度も見掛けなかったという。
前述の退社の挨拶をしに行った頃にはその知り合いの母親が頭部血管の破裂で亡くなったという話を知り合い自身から聞いており、友人が挨拶に行った時にはまだ49日も経ってなかったよな、隣は親会社が待機室として使っているのに何でその事務所は元々物置として使われていたのかという疑問等もあるが結局、「見えない人」の友人にも私にもそれ以上の事はわかりかねる件だった。
その友人、現在働いている職場でも何か体験しているらしく私から見ても友人は典型的な巻き込まれ型と思う。
しかも今回は友人だけでなくその職場の同僚皆が口を揃えて同じ事を言う。
しかしその件については友人の仕事も考慮して書き込みはあと十年位経ってからにした方がよいだろうと判断している。
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