上京したてのころ。
山手線に乗ってた。
確か、品川から日暮里に行ってたと思う。
上京したてだったから土地勘もなくて、どこら辺だったかは忘れたんだけど…。
車窓からオフィスっぽい質素なビルがたくさん見えてたから、新橋辺りだったのかも。
扉付近に立ってボケ〜っと外眺めてたら、なんか真昼間だってのにうっすら赤っぽく発光してるビルがあって、なんだあれ?ライトアップされてんのか?と思って、通り過ぎる時に目を凝らして見てた。
したら、でかい窓いっぱいに、でかいおっさんの顔が、窓に押し付けられてるみたいにみっちり詰まってた。
イメージでいうと、千と千尋の神隠しに出てくる緑色の達磨みたいなやつ。
それは緑色じゃなくて真っ赤だったけど。
目がロンパってて、口をヘの字に結んだ気難しそうな髭面のおっさんの顔。
窓なんていくつも並んでて、しかも通り過ぎる時なんて一瞬のはずなのに、それが見えたらスローモーションみたいになって、そこだけに釘付けになった。
え?人形?って瞬時に思考が駆け巡って、無理やりにでも人形であると思い込もうとした…んだけど、ギロっておっさんに睨まれたんだよ。
それでも電車は走ってるから、わけもわからんうちにビルが遠くなっていって、やがて見えなくなった。
その後何が起こったとかはないんだけど、とりあえず日暮里に行くときは外回りか別の電車で行くようにしたよ…。
あれは一体なんだったんだろう。
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