2年前、私は精神科病院で看護師をしていました。
精神科で働いていると色んな患者さんがいるので非日常的なことがよく起きるのですが、個人的に一番ビビった出来事を一つ。
入職して1年目くらいのとき、その日私は夜勤で出勤すると、昼間に入院があったようで先輩から
「かなり癖のある人が入院した」
と言われました。
「穏やかに終わってくれ〜」
とおもっていましたが、そういうわけにはいきませんでした。
夜勤の挨拶のため、その入院された患者さんのところへ行ってみると、こちらの声に反応はするのですが返答はなくギラギラした目つきで今にも飛びかかってきそうな雰囲気がありました。
その患者さんは病状があまり良くなかったので、落ち着いて療養ができるよう保護室という部屋で過ごされていました。
(保護室は外から鍵のかかる刺激の少ない部屋)
それから、その患者さんは19時から0時くらいまでは寝ていたように思います。
私がいた病棟では21時が消灯でしたので、21時以降は業務もすこし暇になります。
夜勤は2人体制だったので、0時過ぎた頃もう1人の看護師さんが仮眠に向かいました。
仮眠休憩は順番に回していきます。
「今日は平和に仕事が終わりそうだなぁ」
なんて心の中で思っていると。
保護室のほうから、どかーん!!という轟音が聞こえました。
大慌てで様子を見に行くと、さっきまでよく眠っていた今日入院された患者さんが保護室の扉を、パイプベッドで破ろうとしていました。
私は少々パニックに陥りました。
その音で周りの患者さんたちもざわつき始めました。
繰り返し全力でがーん!がーん!とベッドを打ちつけるものですから、流石に金属製の扉もかなりガタガタと揺れていました。
あそこまで人のリミッターが外れた行動を見たのはあの時くらいです。
結局、休憩中の看護師や当直医を呼びなんとかその場は落ち着きました。
あの時、あの扉が突破されてしまったらどうなっていただろう…と思うと怖くなります。
なにしろ、ベッドを打ちつけてるときのその人満面の笑みでしたから。
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