地元(横浜)に帰省した時に見知らぬロープウェイをみつけた。
あれが噂の都市型ロープウェイってやつか?いつの間にあんなの建ったんだ?
乗ってみようと近付くが一向に距離が縮まらない。
仕方無いのでバイクをスーパーの駐車場に停めて徒歩で向かう事に決めた。
行けそうと思ったら行き止まり。
路地裏は迷路の様で何度迂回しようとしても堂々巡り。
空を見上げるとちゃんと駅も階段も見えるのになぜかそこまで辿り着けない。
フェンスにビルに川に阻まれてなかなかルートが見付からない。
しびれを切らして地図アプリを起動してみた。
駅までの最短距離を割り出してみて唖然とした。
····7キロ····だと···!?
とりあえずそのルートは無視してアプリに表示されてる駅の入り口部分へと直接向かう。
そこは高速道路の入り口だった。
一回、バイクを取りに戻ってから入ってみた。
駅の入り口まであと少しの所だがサービスエリアも分岐も全く見当たらない。
アプリ上では駅がある筈の非常駐車帯に一旦停止してみる。
見回してみるが当然、非常時用電話と非常時用階段しか見当たらない。
仕方なく非常時用階段を調べてみた。
意を決して地図アプリ片手に階段を降りてみた。
階段の途中に手摺のない小さな踊り場がある。
踊り場でお〜いお茶とマイルドセブンで一服した。
タバコをくゆらせながら空に目を泳がせていた。
するとツヤやかな黒い月が見えた。
よーくその月に目を凝らすとそれは月ではなく闇夜に浮かぶ太いワイヤーロープだった。
なるほど!やっぱここが駅で正解だったのか。
そう確信した途端、遠くの方にロープウェイのリフトが見えた。
こんな分かり難い所に駅があるなんてな。
何でこんな場所に?
もしかして作業用で一般人は乗れないとか?
そんな事を考えているとリフトが到着した。
駅名がアナウンスされドアが開く。
初老のサラリーマンが一人だけ下車した。
サラリーマンはそのまま深い暗闇へと続く階段を降りていった。
スマホライト片手に必死に周囲を見回す。
そして小さな駅名標を見付けた。
「たかまのはら」
太陽光で大分掠れているが確かにそう書かれていた。
勿論、ロープウェイには乗車しなかった。
家に帰って色々ググってみたがどの地元駅にも たかまのはら なんて駅は存在しなかった。
数ヶ月後にもう一度同じ高速を通ったが非常時用階段は入り口に厳重にチェーンが巻かれており、立ち入り禁止の看板が下げられおまけに監視小屋も建っていた。
地図アプリも無反応。
前に保存しといた履歴や写真もなぜかバグってて表示出来ない。
監視小屋の横につけて警備員にたかまのはら駅について質問してみたがバイトらしく何も知らない様だった。
その後は地図アプリでググっても普通の駅に案内される仕様になったみたいだ。
乗ってみたがやっぱあの時とは雰囲気が全然違う。
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