もうかれこれ二十年近く前の話だけど、今日のような年度末の週末に起きた修羅場
大学卒業後俺は製造業に就職して研究部門に配属になったんだけど、入社五年目の春に三年間の期限で国の研究機関に出向することになった
それまでずっと自宅住みだったんで初めて一人暮らしをすることになってまあ色々大変だったが楽しかった
でもってそれから約一年が経過して、一人暮らしにもすっかり慣れた三月最後の土曜日のこと、朝から洗濯とかの家事を片付けて一息ついた確か11時前くらいに、不意に玄関のチャイムが鳴った
誰かが訪ねてくる予定もなかったので、誰だろうと思いながら玄関のドアを開けたら作業服を来た中年のおっさんと当時の俺と同じか若いぐらいのにいちゃんがいた
でもっておっさんの方が言うには、二人は引越し屋で俺と同じ階の空き部屋に入居する人の荷物を運んできたらしい
10時の約束で少し前に到着して待ってたんだけど、いつまで経っても本人が現れないし連絡先に電話しても出ない
このままだと埒があかないので、不動産屋か大家と連絡を取りたいので電話番号を教えて欲しいとのことだった
俺が住んでいた物件は不動産屋は仲介だけで、実際の管理は近所に住んでいる大家さんがやっていたので、俺は自宅の電話で大家さんに連絡
しばらくして大家のご主人が現れて引越し屋の話を聞いた後、自宅に電話して奥さんにその人の勤め先や実家に連絡を入れさせたが、それでも消息がつかめない
結局引越し屋も次の予定があるということで、大家さんが部屋の鍵を開けて荷物を搬入することに
俺はそこで引越し屋と大家さんから礼を言われて、部屋に戻った
でもってそれから二ヶ月くらい経過した後に、その後の顛末を大家さんから聞いたんだけど、端的に言えば、引越してくるはずだった人は車で移動している途中に亡くなっていた
とは言っても交通事故ではなくて、前日の昼間のうちに荷物の搬出やら部屋の明け渡しやら諸々の手続きを済ませて、夜になってから車で新居に向かったんだが、その途中高速道路のサービスエリアで仮眠を取って、そのまま目を覚まさなかったらしい
週明けになっても勤め先も実家も消息を掴めなくて、いよいよ捜索願をという話になっていたときに、車の中で亡くなっているのを見つけた人が警察に通報して、そこから勤め先に連絡が入って事態が判明したらしい
その後の後始末に結構時間が掛かったそうで、部屋が明け渡される前に春の引越しシーズンが終わってしまった、と大家さんがぼやいていた
ちなみにその部屋はその後しばらく空き部屋状態が続いたが、秋の引越しシーズンに社会人らしき人が入居して、その後は俺の出向が終わって自分の部屋を引き払うまで同じ人が住んでいた
こうやって書いてみると、実は俺自身にとってはそれほど修羅場という感じでもないことに気付いたが、せっかく長文を書いたので、とりあえず投下
コメントを残す