20年以上前…まだ俺が7歳、弟が5歳だった頃、理由は長くなるので省略するが一日だけ塗装関連の仕事をしている親父の仕事現場に行った日がある
その日の現場は田舎町の浄水場で、親父は
「危ないから休憩室で終わるまで我慢してくれな」
と本やらお菓子やらを買ってくれたのを覚えてる
しかしそこはクソガキ。
次第に飽きて、浄水場の中を探検しよう!…という方向に話がすすみ、弟と部屋を出た
この先がいつも夢にでる場面なんだけど、当時の足で全力ジャンプして飛び越えられる高さの太いパイプと、そこかしこにマンホールがあった
そしてそのマンホール全ては作業中の為、ヨジョウ(ペンキがかからないようにする為のビニールみたいなもん)が張られ蓋が外されていた
そしてまぁ…案の定なんだけど…
何本目かのパイプを越えて振り返った時、すぐ後ろを着いてきてた弟が消えていた。傍らにはヨジョウの止めテープだけが残った穴
落ちたと理解した後は泣きながら作業員がいるところまで走り助けを求めた
作業員達がすぐに穴にかけつけてくれた…が、皆口々に
「これはもうダメだ」
やら
「可動してるからもう…」
だとかいって何もしてくれなかった
後で聞いた話だけど、ろ過装置?の間の水門みたいなとこに落ちたらしい。
穴から8メートル程下に激しく水が流れてて、大人でも足がつかない空間だそうだ
泣きながら弟の名前を穴に向かって叫んでた時、親父が穴に到着した
一瞬で状況を理解した親父は、あのグルグル巻き取るタイプの業務用延長コードをロープがわりにして穴へ降りていった
運動音痴で三段腹の親父があの細いコードだけで絶対無理だとガキながら感じていたのは覚えてる
が、しばらくして弟を片手に抱え、手の平を血だらけにしつつ片手だけで登ってきたんだよ。あの親父がさ
弟はすぐに病院に運ばれ、その日の内に帰ってきた
それ以来ずっと親父は尊敬してるし、喧嘩も一度もしたことはない。
本人はそんなこともあったなぁとか言ってるけど。
今でもたまに夢でよく見る…
あの振り返ったら消えてるという感覚が忘れられない
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