>>265で山に呼ばれる彼の話をした者ですが、違う話をもう一つ。
まだ付き合って半年くらいの時に彼と出掛けた時の話。
1日遊んで、夕方過ぎくらいに彼が私の家まで車で送ってくれて、そこで解散になった。
私は
「帰りの道分かる?」
って聞いたんだけど、1、2回曲がるだけの簡単な道だし、ナビもあるから大丈夫ってことで普通に見送った。
一応心配だったから、家ついたら一言メール入れといてって伝えてあったから、お風呂入ってから確認したんだけどまだメール無いの。
普通なら20分くらいで着く道のりのはずで、私はお風呂入ってたから30分以上経ってたのに無し。
髪乾かしたりで一時間近く経ちそうなのにまだメール無し。
さすがに心配になって電話してみようかなと思ったら、ちょうどいいタイミングで彼からの着信が来た。
出てみたら、第一声が
『迷いました…』
ええ!?ってなって、
「もっと早く連絡くれれば良かったのに」
って思わず言っちゃったら、確か
『恥ずかしくて、なんとか自力で帰ろうとしたんだけど…』
みたいなこと言ってた。
でも前にも書いた通り曲がるとこもあんま無いし、20分くらいの道のりなのになぁって不思議に思いながら現在地の確認してた。
周りに何があるかとか、看板はあるかとか、信号機に地名は書いてあるかとか。
でも信号は最初いくつかあったけどこの辺にはもう無いとか、建物もないとか言ってて、よくよく聞いたら山。
もう普通に山。
がっつり山。
その山には奥の方に梅林があって、時期によっては少し賑わうところだから看板がいくつか立ってて、それでなんとか分かった。
だけどその山道に行くまでにはいくつもいくつも曲がらなきゃいけなくて、大きい道もあるのに、こんなとこ通れるの!?って小道に入って、そこから更に進んで……っていう場所だし、行き慣れてる人でも逆に迷うくらい。
「なんでそんなとこに行っちゃったの?」
って聞いたら、その答えがもうおかしいんだよね。
自宅までのナビ通りに走ったって。
その辺からなんかおかしい気がしてた。
私も電話じゃ正確な場所は分からないし、そもそもいくら地元でもそんなところ滅多に行かないから、電話での道案内なんか出来ない。
仕方ないからもう一回ナビ通りに進んでみてって言ったら、彼がだんだん焦ってくの。
ナビ通りに進んだけどまた同じとこに出る。
ナビで案内される道は毎回違うのに、最終的には同じとこに出るって言ってて、凄くゾクッとしたのを覚えてる。
結局ナビが壊れたっていうことにして、私がうろ覚えで道案内するんだけど、やっぱり同じとこに出ちゃって彼はパニック。
その辺から私はなんとなく、山に引き寄せられちゃってんじゃねって思ってた。
私のじいちゃんが自分ちの山持ってたりして、そういう不思議な話を聞いてたりしたから、電話しててなんとなく、これダメなやつかもって気がして、最終手段に出た。
なんでもいいから彼に車走らせて、少しでも分かれ道とか曲がれそうな道があったら全部私に言えって伝えた。
私は電話だからどんな道か全くわからないけど、彼が
『右に曲がれそうな道と左に入ってく脇道がある』
とか言ったら、
『じゃあ左の脇道』
って言う感じ。
そこで彼が
『でも左は物凄く狭いよ。右のが良い道だよ』
とか言っても、絶対左に曲がらせて彼には選ばせなかった。
彼に選ばせちゃ駄目だと思った。
全部勘だし、もはや彼がどこ走ってんのか私にも分からないし、適当だったけどこの方法しかないと思いこんでて、なんか私も少しおかしかったかも。
だってなんか彼が怖いんだよ。
電話向こうでどうしようって焦ってたのに、急に落ち着いた声で
『あ、ここ夜景めっちゃ綺麗。すごいよ。(私)も今から来る?』
とか突然言い出したり、
『なんか大丈夫そうだよ!帰れそう!帰れそう!帰れそう!』
とか嬉しそうに言うの。
凄く怖くて、そのたび
「いいから!曲がれそうな道あったら私に言って!それだけ考えてて!」
って怒鳴ったり、煙草吸えって言ったりして、結局30分くらい電話してた。
最終的には拍子抜け。
『あ、(私)の家に出た』
って。
なんでやねん。
玄関出てみたら本当にいるし。
結局夕飯を私んちで食べてから、大きい道まで私が先導して彼を送り届けた。
幽霊とかは全く無かったけど、電話の向こうで相手が
『帰れない』
ってパニックになってく様子とか、段々とどこかおかしいこと言い出す感じとかが本当に怖かったなあ。
でも一番怖かったのは彼だと思うし、うちが父子家庭だったから、たった半年の付き合いにして私・父・彼の三人で晩御飯食べることになった事とか。
とりあえず彼がひたすら可哀想な話でした。
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