杉さんという、もう亡くなった保険会社の人の話なんだが。
自分、杉さんと呪いを掛け合ってしまい、自分だけが生き残ったんだ。
自分→保険会社のバイト(最低賃金で正社員総合職以上のノルマの地方在住の田舎もん)。
杉さん→田舎の営業所の所長。
自分は実は保険会社でノルマ達成できず、毎日杉さんに殴られたり蹴られてた。
この保険会社は有名なあの会社です。
不払いトップのあの会社ね。
杉さん「てめえ、よくも代車出しやがったな!」
自分「は?特約は支払わなきゃならんでしょ」
その日も杉さんに殴られた。
俺頭もよくねえし障害者だから、健常者の杉さんが殴ればすぐ口から血吐いて倒れる。
内臓にパンチくらったら、ウンコは白や緑、水になる。
火災部の課長「杉さんが君の事で変なこと言ってた」
自分「は?俺車両事故ちゃんとやってますよ」
お局「あんた、杉さんに呪われたよ」
杉さんは、不幸を他人に移すことができると言われてるほど、強運の持ち主だそうな。
杉さんがでっかい声で
「消えちまえ○○」
と叫ぶと、相手は交通事故死か突然死か発狂しかしないと言う。
自分「俺はそんなの信じません。戻ります」
俺は今まで就労先からこんなに殴られたことはないし、とうとう口から出血が止まらなくなった。
会社を休まなかった理由は、杉さんが
「てめえみたいなカタワは休みやがったら首」
と、連日脅してたからだ。
俺は金曜晩に、入院先もある懇意の先生に輸血してもらった。
(俺は生まれつき血が止まりにくい。日によっては垂れ流し)
月曜、先生と泣く病院の人に謝って会社に行った。
もう我慢の限界だった。
杉さんが消えろ。
俺じゃなくて杉さんが。
そう毎日思い、俺はおかしくなった。
トイレでも夢でも、俺は生生しいくらい杉さんと殺しあう映像を見続けた。
最初は杉さんに殺されてたんだが、『ゾンビに食われろ』とある夢で思ったら杉さんに勝てた。
杉さんは、車ではねようと夢で頑張ってた。
俺は、杉さんの車にバイオハザードのゾンビ何百が襲い掛かれと想像した。
現実でも俺はおかしくなって、わら人形を焼いたりしてた。
俺は血を吐きながら「消えろ消えろ消えろ」と、部屋の中で水便をもらしながら深夜呪い続けた。
そのうち俺の血でわら人形は染まって、(俺の血は固まらないからゲル状)
それでも許せなくて、床に何度もたたきつけた。
俺は杉さんを呪うたんびに出血が激しくなっていった。
ストレスだろうな。
ステロイド、先生に多めに出してもらうか。
気楽に考えてた。
珍しく俺は、日曜いい夢を見た。
子供の姿で川で遊んでいた。
起きたら昼だった。
杉さんがいるんだ。
部屋に。
「おまえさあ、ステロイド消してやるよ。それなきゃ死ぬんだろ。何で俺気がつかなかったんだろ」
杉さんはいつの間にか消えていた。
次の日会社に行ったら、杉さんは心筋梗塞で亡くなったと聞いた。
俺は勝った。
杉さんに。
ただ、俺はなぜかその日以降、人に言われなければステロイドを飲むことを忘れてしまった。
時々、2週間飲んでないとかあった。
俺は会社にいられないほど弱ってしまった。
血が止まらない。
そして、俺は意識を失い、気がついたら大学病院で脾臓を取る話を医師としてた。
この辺の時間の移動はまったくわからない。
会社を退職した日からなぜか3か月経ってた。
その間俺は一体どうしてたのだろう?医者に聞いてみた。
「君、いい加減にしろ!真冬雪の中道路に飛び出したり、飛び降りしただろ!」
俺は精神科医にも回された。
「眠りたくない」
と叫んだら、ドラミカムで寝ようと優しく促された。
「どうしてステ忘れちゃうの?飲みたくないの!」
と、研修医に叫ばれたりもした。
俺はもうその時点で、自分の名前や住所がわからくなっていたし、
「なぜステロイドを飲むのか」
と医者に聞くほど異常になってた。
そのうち研修医や看護師も、医局長に証言するようになった。
「○君(俺)本当にわからないんです」
「何言ってもわからないみたいです」
俺は毎回泣き叫ぶ母親に自分を説明されて、現状を知ったりしてた。
やがて、外科で脾臓を取る日が来て、そして俺は病院をすぐ退院した。
脾臓を取ったお陰か、俺の数値は健常者になってた。
俺は脚がカタワのはずなのに、なぜか退院後それを忘れて歩いてた。
時々記憶が戻り、杉さんとの日々が俺を苦しませた。
俺はステを飲んでないまま数ヶ月経った。
今では病院に行くことさえ忘れてしまった。
脚はまるで健常者だし、何だか俺はこの不可解な事件がどうでもよくなってしまった。
時々記憶が戻るけど、杉さんのことは極力思い出さないようにしてる。
杉さんのイメージが湧いたら、すぐ楽しいことを考えて、杉さんが頭の中から消えますようにと祈った。
そんで今は、障害者手帳も特定疾患も良くなったのでいりませんということになっている。
時々部屋で出血する夢を見るんだけど、杉さんを殺したのは自分だとたまに自覚する。
あんま恐くなくてすまん。
この話を姉に話したら、ぼそっと、
「呪い云々より杉さんのほうが恐いよ。お姉ちゃんも何度死ねと呪ったことか」
そう言われた。
血を介した異常な呪いが効いたのかなあとふと思うよ。
この事件で、人を呪ったり呪われたりは恐いことだとわかったから、あんまり人に強い感情を持てなくなった。
でも、杉さんのような異常な人はもう会ってません。
自分も異常者だと思うけど、本当に杉さんは恐かったわ。
以上。
まとまりなくてごめん。
この件で恐かったのは以下。
・立派な大企業でも殴る蹴る、血が吐いても止めない上司がいる。
・カタワとはっきり言って何十発も殴られた。吐血して床に転がっても便が漏れても止めない。
・杉さん自身が異常ですごい恐かった。周囲は見て見ぬふり。
・人を呪うと公言する異常者がいて、やりかえす自分の異常性。
・何か記憶が飛んでしまっていること。
・忘れてしまったりすることが入院中多かったこと。
・健康だった杉さんが突然死んだこと。
・血が止まらなくても俺自身、田舎に職がないのでこの会社にしがみつこうとした異常性。
ステロイドは、今現在の医師(親に連れてかれるところ)からもういらないと言われ飲んでません。
脚は何で歩けるのかわかりません…お医者さんに聞きましたがわかりませんでした。
保険会社のCMなんか見ると、身体が震えますが元気に生きてます。
実話です。
杉さんは何人呪ってきたのだろう。
因果応報かも。
投稿者さん無事で良かったですね。