ある日、マタギのところへ動物愛護団体の人が名刺を出して
「なんで熊を殺すのですか」
と抗議にきたそうな。
マタギの爺さん曰く
「生きていく糧と伝統」
と説明するも、愛護団体側は
「動物を殺すなんて(以下略)」
と聞く耳を持たない。
それから連日抗議に来るので、煩わしく思ったマタギは知人に頼んで一芝居をうつことにした。
今日も今日とでマタギに難癖を付けにやってきた団体様。
そのタイミングを見計らい、近所の知人がやってきて
「里に熊が出てきた様だ、心配だなー」
と一言。
それを聞いて青ざめたのは団体の連中。
どうやらマタギをこらしめに来たはいいが、熊に襲われることは想定してなかったようだ。
恐怖を感じた団体の連中は、マタギの爺さんに
「私が熊に会っても・・・安全に帰れますでしょうか?」
と振るえながら尋ねる始末。
そんな情け無い連中に、マタギの爺さんはこう返してやった。
「熊に遭ったら、あんたの名刺を見せればいいじゃないか。動物愛護団体だとわかれば熊も襲ってこないだろう?襲われてもそれはそれで、愛すべき動物の糧になれるんだから名誉なことじゃないか。それとも、まさかあんたら俺を警護につけて、『私達の安全のために、熊が襲ってきたら撃ち殺してください』なんて言うつもりじゃねぇよな?」
嘘松!