父から聞いた母の話。
母が2人目を妊娠中に、父が学生だった頃の元彼女(以下A)が失踪した。
「好きな人に振られた、私はもう死ぬ」
と遺書を残して消えたらしい。
しかし数日後、Aから電話が掛かってきて
「○○(父の名前)、迎えにきて…」
と弱々しい声で、数日前から宿泊している土地の場所を言ってきた。
当然行くわけがなく、会いたいならウチまで来い、と答えたら本当に来た。
母はつわりが酷いので2階に上がらせてから、父は近所に住むAとの共通の友人B(男)を呼んで、2人で皆が心配しているから、早く家に帰れと促すと、Aが泣き出してしまった。
しかも
「私はあなたとやり直したい…」
と父に縋ってくる始末。
しかし、当然断る父にAが逆上。
「死んでやるー!」
と泣き叫ぶわ、持っていた睡眠薬を飲もうとするわで大騒ぎ。
ぎゃあぎゃあ騒ぐAに、父もBもどうしようかと慌てていると、母が形相を変えて下りてきた。
そのままAに近付き、「ふざけるなぁっ!」と怒鳴りながらAを思い切り平手で殴りつけた。
「私は、今必死でこの家を作ってる!子どもも欲しかったから、頑張ってお金も貯めた!苦労して、自分の家族を作っているのを、お前は破壊しに来たのか!?死にたけりゃ勝手に死ね!けど、ここで死ぬな!私らを巻き込むな!!」
呆然とする3人を尻目に、母は何錠か睡眠薬を飲んだAを車に突っ込み、父とBに私(当時2歳)を任せて、病院にAを放り込んできた。
「帰りに○○ちゃぁん…とか言ってたけど、もう知らん!Aの親にも連絡したし」
と言う母に、父は自分の不甲斐なさを反省すると同時に、それだけ家族を大切にしている母に惚れ直したとか。
この話は母が21歳の時のものです。
父から聞いた後、母にも直接話を聞きました。
「私は連れ子だったから、家ではすごく浮いてたの。それを知っていて、お父さんは早く結婚してくれたんだよ。私は幸せな自分の家族を作るのが夢だったからね。それを壊されるのは、絶対に許せなかったから」
次に実家に帰るときは、親孝行しようと思った…。
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